転ばない 転ばせない
私はバイクに乗りますが、転倒をしてケガをした経験もあります。
ケガをすると痛いし、生活で不便を来すので困ります。自分がケガをしないにしても、バイクが傷つくので嫌です。
なので、乗らない。となるかと言ったら、それを選択しません。
バイクはリスクがありますが、ベネフィットとして自由に好きな時に好きな場所へ行かれるを優先します。
そこでリスクマネジメントとして転ばない運転を心がけます。不意に何が起こるか分からないのも覚悟の上であり、自分自身で細心の注意を払って転んだら諦めがつきます。
と、バイクの話で例えましたが、介護の現場では転倒についてどう考えていますか?
自分で好きな時に、好きな場所へ移動が出来るのって素晴らしい事だよね
と、介護の現場を客観的に見ている人から言われました。
これって、当たり前だけど、介護の現場では薄れてしまう感覚。
転倒について介護施設で介護職員が苦慮するのが、例えばパーキンソン病があり、自分で足の運びに注意をして歩かないとよろけてしまうけど、認知症の為に意識が向かず転んでしまったり。
骨折していても起き上がり歩く認知症の方もいらっしゃったのを思い出しました。
家族の思い「転ばないでほしい」
すると、
介護職員が「転ばせられない」
家族の考え方が、転倒しないで暮らせる場所探しとして施設入居を選択する場合もある。
その為、転ばない手段として、歩かせない事を介護として行うと決定をする
そうしたら、転倒しない為には歩かせないのが一番、と考えて、認知症の本人抜きで周りがケアの方向を決めてしまいます。
でもそれって・・・
絶対に転ばない生活って、自分自身でありえるのかと考えると100%無理ですよね。
本人以外の方からの転倒をさせたくない、という思いに対して、
本人を『歩かせない』と決めて良いのでしょうか。
または、動かなければ転倒をしないから、動きを抑制する?
生きていれば移動をする、認知症の方も歩く
動いていれば事故は誰にでも起きる可能性がありますよね?
転倒をさせたくないのはどうしてなのかをご家族に聞いてみると、
>『ケガをさせたくない』
どうしてケガをしたくないのかを突き詰めると、
>>ケガをして『入院をして欲しくない』
どうして入院は嫌なのかを突き詰めると、
>>>『病院は窮屈な生活で可哀そう・・・』
ケガをしたくないなら、転んでもケガをしなければOKですよね。
入院をしたくないなら、転んでケガをしても入院にならなければOKですよね。
原点を突き詰めるともっと広義に目標を考える事ができます。
ちなみに心意を突き詰めるのは、ケアマネとして重要なヒアリングです。
これはニーズの引き出しであって、ケアプランで要になる部分です。
この技をケアマネだけではなく、介護の現場の人も知っていて欲しいです。
ニーズが『転ばないで欲しい』と言うプラン、まさかありませんよね?
以上を踏まえて、転倒リスクのある認知症の方の転倒について今一度考えてみましょう。
以下のAとBは目的の違いから、目標設定がずれているのが分かってくれたら嬉しいです。
A■転倒をしない為に、どうしたら歩かないでいられるか。
B■自分の意志で歩く時に転倒をしない様に、どうしたら行きたい場所へ歩ける(移動が出来る)のか。
Aは『歩かない』事を目的として、歩く事の抑止方法を考えている
Bは『転倒しないで移動する』事を目的として、歩く為のサポート方法を考えている
Aはそもそも『歩く』事を否定している為、人としての行動『歩く』事を取り上げる為の手段を考えるのですが、それって認知症の方だと難しいですよね。
これが介護の現場で働いていて、とてもフラストレーションが溜まっていました。みなさんはどうですか?
認知症の方の「本人の意思」転びたくない、でも転ばないように意識を向けて歩く事が出来ない
そこで介護を知っていれば分かる事、自立支援や、自由意志の尊重、自己決定の実現。
介護は人間の尊厳を守りながら、その人の生活に入り込みサポートをするとても素晴らしい職種です。
本人が歩く事を望んでいるなら、そこ、介護職員、がんばりましょう!
転んだら、ケガをするかもしれない、入院するかもしれない、これはいつでも誰にでも当てはまる事
そこをご家族の方、受け入れて欲しい・・・です。
介護施設は刑務所ではありません。
あれはダメ、これもダメと介護職員に言わせるような介護を望まないで欲しいです。
介護施設は大人数で楽しく暮らせる生活の場です。
歩かないという選択を他者が決めて歩かせないようにする事は介護の現場では拘束になりかねないと思います。
「歩かせない」という言動は介護の世界では使うのは控えたいですね。
どーしても安全に歩くに行き着かない場合もある。
それなら
安全に転ぶ。しかない。
転倒の事故報告書を見直しをしてみてください。
まずはケガの度合いでランク分けをします。
大怪我の転倒
怪我の転倒
治療の必要が無い怪我の転倒
外傷無しの転倒
そして事故報告書内の原因である部分が「そもそも論」であるなら、そこだけはしっかり回避。
怪我をせずにうまく転んでいるなら、怪我をしないで転倒出来た理由に着目する。
転倒をして大怪我をしたなら、何が大怪我に繋がったのかを分析する。
自由に歩く事を取り上げない為に分析をするのは大変です。
より正確な分析をする為に、様々な人からの情報を収集して、自分でもたくさんの経験が必要です。
私の提案も一つの情報であって、完ぺきではありません。
それは介護の対象者が個人であって、個性があって、決まった型が作られないからです。